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グローバルに展開した外資は、相続財産を確保するスキームとして、海外の保険を使ったり、海外のETF(上場投資信託)を含む提案をしている(証券会社のPB)※なお、このインタビューは、サブプライムローンの焦げ付きにともなう世界的な株価下落(2007年8月)の前に実施されたものである。
海外のPBビジネスモデルは通用するか。
外資系銀行/証券は、母国(とくに欧州)におけるPBサービスの提供形式とは異なるビジネスモデルを日本で展開している。
その主な理由は、次の三つである。
第一に、日本と欧州では金融制度が異なる。
欧州では銀行商品と証券商品を1つの金融機関で提供する「ユニバーサルバンク」が、第1次世界大戦の頃から認められてきた。
日本でも、銀行で投信窓販や証券仲介が行われるなど、銀行と証券の聞の規制は少なくなっているが、ユニバーサルバンクには、まだ遠い。
日本固有の規制の下で、欧州と同じPBサービスを提供することはできない。
第二に、日本ではPBサービスがはじまって間もないため、PBサービスを上手に使いこなすノウハウを顧客が持っていない。
日本の超富裕層には戦後に創業した企業オーナーが多いが、欧州には何代にもわたって資産の承継を繰り返してきた伝統的な資産家が多く存在する。
よって、絵画取引、フィランソロピー(慈善活動)、資産ポートフォリオについてのアドバイス、ファミリーオフィスといった欧州で浸透しているPBサービスが、日本では、まだ浸透していない。
第三に、日本に進出している外資系銀行/証券は、母国ではたいてい、トップ金融機関(チャンピオン)であるが、日本ではチャレンジャーのポジションにある。
チャレンジャーは、チャンピオンよりも先鋭的な商品・サービスで、攻撃的に顧客獲得しなければならない。
また、新規に進出した国(日本)において、短期間で黒字化することを求めるならば、収益性の高い運用商品の販売に傾注せざるをえなくなるという面もある。
その結果、欧州では、資産ポートフォリオのアドバイスから、運用商品、融資、非金融サービスまでバランスよく提供している金融機関が、日本では、特殊な運用商品の提案に特化するということが起きているのである。
日本に進出している外資系銀行/証券だけでなく、海外金融機関のプライベートバンカーが、海外拠点から直接、日本の顧客にサービスを提供するという方法もある。
数年前に、海外への資産の移転や海外移住が話題になった頃、海外金融機関のプライベートバンカーが盛んに日本国内の超富裕層にアプローチをした。
しかし、国税当局の監視が強化され、また、マネーロンダリングを防止するためのさまざまな対策がとられてきたため、資産の海外移転は1時ほどのブームではなくなった。
自前の人材育成が迫られる外資系銀行/証券のPBサービスの戦略は、ひっそりと小規模のままでいるか、量的な拡大を志向するかによって大きく分かれる。
後者の場合、ボトルネックとなるのはプライベートバンカーの人材確保である。
これまで、外資系銀行/証券は、優良な顧客を持つプライベートバンカーをメガバンクや大手証券などから引き抜いて成長してきた。
また、シティバンクのプライベートバンク出身者も「即戦力」になった。
しかし、他社(行)が育てた人材の引き抜きによる成長には限界がある。
なぜなら、経済処遇だけで転職する人ばかりではないからである。
ここにきて、外資系銀行/証券はようやく、自前の人材育成に力を入れはじめた。
これが成功するか否かは、日本にオリジナルな人材育成システムをつくれるかどうかにかかっている。
なぜなら、欧州のプライベートバンカー育成システムは、法規制や慣習が異なる日本では部分的にしか機能しないからである。
そこまで腰を据えた取組みをする覚悟があれば、日本の超富裕層マーケットで生き残れるだろう。
プライベートバンカーのやりがいプライベートバンカーは、その仕事のどこに面白みを感じているのだろうか。
プライベートバンカーインタビューの番外編として、彼らの職業観やモチベーション(動機付け)の源泉について触れてみよう。
プライベートバンカーの仕事は、経済処遇がよいことだけがモチベーションになっているわけではない。
超富裕層と付き合うためには、それなりの水準の生活をしていることが必要であるが、プライベートパンカーよりも高い経済処遇の職業はいくらでもある。
また、金融機関による給与体系の遣いも大きく、経済処遇があらゆる金融機関のプライベートバンカーに共通するモチベーションになっているとは考えにくい。
多くのプライベートバンカーが指摘するのは、超富裕層という難易度の高い顧客との真剣勝負が仕事のモチベーションにつながっていることである。
超富裕層というのは、上げて成功した人、政財界に影響を与える大物、人を見る目が卓越した企業オーナーなどであり、1人の人間として尊敬に値する懐の深さを持っている人が多い(もちろん、例外もある)。
その超富裕層に1対1で対崎し、日々、厳しい要求に応えることが、プライベートバンカーのスキルや胆力の向上につながる。
この緊張感を楽しむことができれば、プライベートバンカーとし一代で事業を立ちあげて1人前である。
これに対して、法人ビジネスというのは、高度な専門知識やスキルが求められるが、組織対組織の関係でビジネスが決まっていく面が強い。
また、一般のリテールビジネスは、高度な知識よりも顧客との人間関係が重要だったりする。
プライベートバンカーの仕事には、個人ビジネスの最高降として、高度な知識・スキルと人間としての魅力の二つを、見識の高い顧客から求められるという厳しさがある。
競争のなかを生き残ったプライベートバンカーはそこに醍醐昧を感じている。
金融資産1億〜5億円の富裕層に対する商品・サービスの方向性について述べる。
富裕層と金融資産5億円以上の超富裕層は、その職業構成が大きく異なる。
ゆえに、超富裕層向けのPBサービスのまま富裕層に適用しても、富裕層のニーズには合致しない。
ここでは、「富裕層ビジネスと超富裕層ビジネスは、異質のビジネスである」ということを認識したうえで、「二つのビジネスをどのように連携して相乗効果を出すか」を考えていく。
このときに、注目すべきは、超富裕層と三大都市圏の新世代富裕層(1947年以降に生まれた富裕層)の資産運用の考え方に類似性が高いことである。
職業分布は異なるが、「能動的」で「合理的」な資産運用の価値観を持つという点で、三大都市圏の新世代富裕層の考え方は、企業のオーナー経営者が多い超富裕層に近い。
また、富裕層全体のなかで新世代富裕層が増えていくことは自明であり、今後の富裕層ビジネスの方向性を先導するのは、「三大都市圏の新世代富裕層」と見て間違いない。
そこで本章では、三大都市圏の新世代富裕層の資産運用ニーズに対応するために、超富裕層向けのPBサービスを、どのように応用・進化させていくかを考えていきたい。
資産のグローバルアロケーション「日本の富裕層が、ポートフォリオ営業を受け入れる日が来るのだろうか」という話をよく聞く。
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